2010-01-01から1年間の記事一覧

上海日本人僧侶襲撃事件についての追記

TBで臼井勝美氏の「満州事変」での記述について情報をもらったので前の記事に追記する意味でUP。 一月十八日、日本山妙法寺の僧侶天崎啓山、同水上秀雄とその信徒後藤芳平、黒岩浅次郎、藤村国吉の五名は、寒中勤行のため団扇太鼓を打ち鳴らしながら、共同租…

Wikipediaの問題記述

Wikipediaの「上海事変」の項に以下の記述がある。 事変の起きる前の日本と列強との関係について、日本側資料では「上海事件の起こる前に於ける日本と各国との関係は、頗る良好にして、即ち居留地外は上海市長呉鉄城の支配権内に在るも、居留地内は工部局が…

日本人僧侶殺害事件

1932年1月18日午後4時過ぎ、上海楊浦の馬玉山路(現・双陽路)にある三友実業社というタオル工場の前で、日本人の日蓮僧と信者5名が三友実業社の従業員らの暴徒に襲撃され死傷した事件。 襲われた日本人は、僧・天崎啓昇(日本山妙法寺の上海布教主任)、水…

第19路軍の上海付近移駐

第一次上海事変で活躍した蔡廷鍇の第19路軍がなぜ上海付近にいたかについて、日本側は1932年当時から中国軍が租界攻撃をもくろんでいるとのデマを流し、現在においてもこれを信じる者がいるほどである。 Wikipediaの「第一次上海事変」では以下のように記述…

第一次上海事変における損害(追記)

中国側 中国民間人の損害については、中国政府発表の公式報告、中国軍の損害については第19路軍司令官・蔡廷鍇による報告による*1。ただし、1934年時点の情報に基づく。 分類 死者 負傷者 行方不明 計 第19路軍・第5軍 将校 214 677 891 同上 下士官兵 4060 …

石破二朗・石破茂の系譜1

石破二朗は、内務官僚であり第二次大戦ごろから建設関係を主任務としている。 そのため敗戦後も官僚として生き残り、また建設関係の立場から戦後復興に乗じて力をつけている。自民党対社会党といういわゆる55年体制ができた1955年の東京都知事選挙への立候…

戦後熱海の利権争奪を巡る暴力団と外国人と宗教団体

戦争末期の伊豆半島から相模半島までの相模湾一帯は、米軍の本土上陸が懸念される地域であったため、日本軍は泥縄的に要塞化を進めた。しかし、徴兵を繰り返し若年者・壮年者の人口が少なくなった状況では労働力が足りず、強制連行した中国人・朝鮮人らを投…

戦前日本の軍事費推移

(単位:百万円) 年度 国民所得 国家歳出 軍事費 1888 1000 82 23 1893 1400 85 23 1894 1600 185 128 1903 2600 316 151 1904 2600 822 673 1913 4600 573 192 1914 4200 618 305 1925 14300 1527 448 1930 11700 1558 444 1931 10500 1477 461 1936 15500…

南方占領地への慰安婦輸送

1941年12月の対米開戦以降、日本軍は一気に南方に占領地を拡大していった。 1942年1月にはフィリピンのマニラを占領し、マレー半島ではシンガポールを望む対岸にまで迫っていた。その1942年1月10日には既に日本軍は南方占領地に慰安所を解説するため、台湾や…

ソ連参戦時の内蒙古方面へ進軍したソ蒙軍兵力

根本博については、戦後台湾に渡って蒋介石を支援する工作活動を展開した上級将校ということもあって過剰に神格化される傾向がある。中には戦争末期に内蒙古方面に侵攻したソ連軍を食い止め、中央の停戦命令を無視してまで邦人の脱出を助けた英雄的扱いまで…

第一次張北事件の概要

1933年5月31日の塘沽停戦協定以降も察哈爾省と熱河省の境界は不明瞭であったため、満州国軍・関東軍と宋哲元軍との間で小規模な衝突が頻発していた。このため、察哈爾省中心部の張家口と張北は宋哲元率いる第29軍によって厳重に警戒されていた。1934年10月27…

1935年から1936年における主な満蒙ソ国境紛争

日時 事件名 場所 概要 1935年 1月 8日〜 1月28日 ハルハ廟事件 ボイル湖北方 日本軍と外蒙古軍の衝突 1935年 6月 3日 楊木林子事件 東部国境 日本軍斥候とソ連国境警備兵の衝突 1935年 6月23日 ホルステン河事件 ハルハ河支流 外蒙古軍が日本軍測量隊を逮捕…

第1次張北事件と宋哲元の立場

日本軍が熱河省を占領した1933年5月、遠く南京にあった蒋介石は抗日を先延ばしし、何応欽を通じて日本軍との停戦協定を結んだ。塘沽停戦協定である。 華北の民衆の抗日意識は高まり北方軍閥の諸将領も抗日の覚悟を決めつつあったが、蒋介石の国民政府の支援…

1931年ころの綏遠省の状況

綏遠省は現在では内モンゴル自治区の一部となっている。 内モンゴル(内蒙古)地方は清朝時代前半、蒙古人の土地とされ、開墾が禁止されていた(蒙地開墾禁止政策)が、雍正帝治下の1724年には漢人農民による内蒙古の放牧地開墾が許可されている。これを「借…

傳作義の経歴2

1927年初め、北伐を開始した国民革命軍は、呉佩孚や孫伝芳、張宗昌の軍をことごとく破り北上した。 1927年4月には国民政府内の内紛から北伐が一時中断したものの7月には国民政府から共産党を排した上で蒋介石の主導権が確立し北伐を再開、これを見た閻錫山は…

傳作義の経歴1

「伝作義」とも。また日本語読みは「ふさくぎ」が多いが「でんさくぎ」という読み方もされる。「傳」は中国語的には「フー」とも「チュエン」とも読むらしい。傳作義は山西省の出身で1895年に生まれている。 1910年に太原陸軍小学で孫文思想の影響を受け、直…

日中平和友好条約とその後の日中韓台

米中間のピンポン外交が終盤となった1978年8月12日、日本と中華人民共和国の間に日中平和友好条約が成立し日中間の戦争はあらゆる意味において終結した。 中国共産党による対日宣戦布告(1931年)から47年、日中共同声明(1972年)までとしても41年。一般的…

ニクソン訪中と角福戦争(1971〜72年)

実際にニクソンが訪中(中華人民共和国)したのは1972年2月21日。意思表明は前年7月にされていたが実現するかどうか世情での判断は分かれていた。なお、アメリカと中華人民共和国との間に正式な国交が成立するのは1979年1月、カーター政権になってからである…

旧日本軍組織温存のための戦い3・富士倶楽部

1950年6月25日、北朝鮮軍は突如、韓国に侵攻を開始する。朝鮮戦争の始まりである。 2週間後の7月8日、GHQ総司令官のマッカーサーは日本政府に対し再軍備を指令し、政府は8月10日警察予備隊令を出し、日本は再軍備を開始することとなった。兵力は7万5000人。 …

旧日本軍組織温存のための戦い2・海烈号事件

1949年7月、根本らは台湾に到着するが、既に福建省は陥落寸前。同行したのは、吉川源三元陸軍中佐、岡本秀徹、照屋林蔚、中尾一男、吉村某、淺田某ら6名で計7人。うち6人は国民党軍の湯恩伯将軍に招かれ福建省に行くも、戦況利なく、吉本、照屋、中尾の3名は…

旧日本軍組織温存のための戦い1・根本博の略歴

根本博は1941年3月以降、満州東部国境警備についている。当初は第24師団長として、戦局が悪化した1944年2月以降は第3軍司令官として(第24師団は南方に引き抜かれた)。 着任当時、東北抗日連軍の組織的活動はほぼ壊滅状態にあり、また1941年7月の関東軍特種…

阿部規秀中将の戦死

駐蒙軍に所属する独立混成第2旅団の旅団長・阿部規秀中将の戦死は1939年11月7日のことである。 場所は、中国河北省と山西省の境にある保定市淶源県(淶はサンズイに「来」)の黄土嶺。淶源県は北京から山西省省都・太原に続く街道上の山西省に入る手前にある…

阿部中将戦死後の日本軍独立混成第2旅団撤退

前回の続き1939年11月7日、太行山脈中の黄土嶺附近で八路軍に包囲された独立混成第2旅団の討伐隊は、指揮官であった阿部中将を戦死という形で失った。 しかし、包囲は尚も続き日本軍討伐隊は危機的状況にあった。 これを救援するため、日本軍は独立混成第2旅…

張家口戦役・南口戦役

1937年7月末に北京を攻略した日本軍は、8月8日北京西方の要衝、張家口以東の攻略を開始する。これは関東軍の強い要望に参謀本部が折れた結果でもある。北京から張家口に向うにはまず居庸関を超えねばならない。日本軍は8月11日、独立混成第11旅団をこの居庸…

第二次上海事変(1)

通州での邦人犠牲は日本の傀儡である冀東政府保安隊の反乱に伴うもので200人ほどの民間人が犠牲になっている。宋哲元の第29軍でも蒋介石の中央軍でもないことから、通州事件に対する反感を中国政府に向けるのは筋が通らないものであったが、日本軍は加害者を…

盧溝橋事件

1937年7月7日夜、北平郊外盧溝橋で夜間演習中の日本軍(支那駐屯歩兵第1連隊第8中隊)に対し中国側陣地からの発砲があった。日本軍兵士一名の所在が確認できなかったことから俄かに緊張が高まり、支那駐屯軍歩兵第一連隊の牟田口連隊長は中国側に攻撃を一木…

日本陸軍兵力の推移

年 全体 中国 朝鮮・満州 内地 南方 航空・船舶 1936年 29万 - - - - - 1937年 95万 50万 21万 23万 - - 1938年 113万 68万 23万 21万 - - 1939年 124万 70万 29万 24万 - - 1940年 135万 68万 35万 32万 - - 1941年 185万 68万 80万 37万 - - 1942年 210万 …