1932年2月1日時点での各国駐屯軍、義勇隊の概数

国   人数*1 1月30日時点で人数*2
日本   3920 約2800
アメリカ 2750 1264
イギリス 3850 2086
フランス 960 1008
イタリー 160 160
義勇隊  1746 -

アメリカ、イギリスの兵力が大きく違うのは、他のアジア地域にある海兵隊を上陸させたためか。アメリカはフィリピンから、イギリスは香港から増援部隊を送っている。

日本軍

海軍陸戦隊
├第1大隊・混成:約600名
├第2大隊・混成:約600名
├第3大隊・混成:約600名
├第4大隊・佐世保第3特別陸戦隊:474名
└第5大隊・横須賀第1特別陸戦隊:525名
*3
第1〜3大隊は、佐世保第2特別陸戦隊(468名)と巡洋艦「常盤」「安宅」「大井」「夕張」から各1個中隊(約200名×4)に既存の陸戦隊を合わせた1833名。

アメリカ軍

第4海兵連隊が駐留していたが、2月5日にはUSSヒューストンから67名の海兵隊員を上陸させ増員。また、フィリピンから第31歩兵連隊(連隊長:Col. Lorenzo D. Gasser)が派遣され、同じ2月5日に上陸している。
http://www.31stinfantry.org/Documents/Chapter%204.pdf
http://www.chinamarines.com/ver3/shan.htm

義勇隊

中国語では万国商団と言う。当時は、A大隊からC大隊までの3個大隊。各国居留民の志願による共同租界自治組織(工部局)の軍隊。白系ロシア人も少なくない。武器はイギリス陸軍省が提供していた。また、フランス租界は別途、ロシア人の傭兵で部隊を編成している。
http://blog.myspace.cn/e/402560652.htm
http://www.talesofoldchina.com/shanghai/law/t-volu.htm

防衛委員会

日本海軍陸戦隊やイギリス海兵隊、アメリカ海兵隊は、本国政府の軍事組織であって共同租界工部局とは本来関係がない。しかし、それでは上海全体での軍事問題で不都合があるため、防衛委員会というのが設けられている。
防衛委員会は、義勇隊長、工部局参事会議長、工部局警察署長のほか、イギリス軍、アメリカ軍、日本軍、フランス軍、イタリア軍の各駐屯軍司令官で構成されていた。中国人は含まれておらず、上海利権を持つ外国人らによって運営された帝国主義的な組織である。

1931年12月18日、防衛委員会は日本軍の警備区域として淞滬鉄道〜北四川路の地域を含めることを認めた。同地域には日本人が多数居住しているため、日本側が要求したのである。
しかし、淞滬鉄道〜北四川路の地域は租界内ではなく*4上海市政府(市長:呉鉄城)の管轄であし、しかも日本軍の警備区域になったことは租界当局から上海市政府や中国側に知らされていない。

1932年1月28日深夜、淞滬鉄道〜北四川路の地域に中国軍が配備されているにもかかわらず、日本軍はほとんど無警告で重武装の陸戦隊を警備配置名目で突入させたことが、第一次上海事変の直接的なきっかけとなった。

*1:臼井勝美「満州事変」P160

*2:児島襄「日中戦争2」P206

*3:児島襄「日中戦争2」P192、212

*4:北四川路が越界路として租界同様の扱いではあったが、この区域はそれをさらに外れている