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日本報道に見る1939年7月頃の山東省の状況

1939年 山東省

新聞記事文庫 中国(18-071)
大阪朝日新聞 1939.7.16-1939.8.1(昭和14)(1〜6)

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北支蒙疆 興亜建設の現地報告 (1〜6)

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(4) 山東篇 鉱産富源開発へ 邦人企業の進出著し
最近英国筋のあるデマ放送はこう伝えた
山東の治安成れりというも、僅かに鉄道沿線一キロぐらいの地域に過ぎない、その他の奥地は依然として日本軍の手が届かないと、ところが皮肉にも現実はまさに正反対のコースをひた押しに進んでいる、昨年末までは県知事の任命されたもの僅かに三十七県に過ぎなかったが、本年六月二十日現在を見ると、百五県中知事の赴任したもの七十八県、新に任命、近く赴任と決定したもの五県、全然任命されていない県は、僅かに二十二県、五分の一に過ぎない、これは治安の程度を物語る生きた証拠だこれを地方別的に見ると

[図表あり 省略]

となっている、粛清治安工作は昨年に比し驚くべき急テンポで展開したのだ、特に今回の魯南作戦はこの意味で決定的の効果を挙げた鉱、農両産物の資源最も豊富な沂水、●県、蒙陰各県は今度の作戦によって完全にわが手に帰した、その戦果は、山東省偽政府主席沈鴻烈や于学忠の根拠地を殆ど完全に粉砕し、直に県知事を任命せしめ、県政を布いたのである
山東の政治が、北支臨時政府管下にあるは、いうまでもない、済南に省公署あり、全省を分つに四道百五県、さらに区−郷−鎮−村に区別して、政治の浸透をはかっている、省長唐仰杜氏、日本人顧問一名、輔佐官五名、各道県には、道政、県政の全般にわたって指導する
日本人連絡院各一名をおき、地方行政の指導啓発にあたらせている、この連絡員の担当使命は極めて重大だ、単身奥地の県に踏み止まり、わが宣撫工作と相俟って、献身的に行政万般の指導善政に当る、建設は大地に根を下すべし、体当りで建設を進めて行くところに、真の現実性があるのだ

納税の状況を見よう、昨年度の省予算は、その大部分を臨時政府の補助に仰いでいた、ところが本年度の省収入は、六百万元の大増収である、総予算一千万元、政府補助は四百万元となった、明年度あたり、独立予算の編成も難しとしないであろう
治安回復に伴い経済開発も目覚ましい躍進振りだ、山東省は鉱物資源の豊富をもって鳴る、金剛石、金、銀、銅、鉄、鉛、錫、水晶、礬土頁岩、石綿、硝石、雲母、ガラス原料、蛍石、滑石−殆どあらゆる鉱物を網羅している、なかんずく石炭、その埋蔵量は

膠済沿線炭田 一、三〇九百万トン
新泰炭田 一四〇百万トン
●県炭田 一二〇百万トン
費県炭田 九〇百万トン
合計 一、六五九百万トン

に上っている、かつてこれらの炭田は全部支那兵に爆破され、昨年夏までは出炭不能の有様だったがその後、応急修理着々進捗、今年に入り日産四千トンまで漕ぎつけて来た、棗荘の中興ブロックは中興公司に、新泰ブロック中華農、華雲の両炭鉱は興中公司に、いずれも軍管理鉱山として、それぞれ委任経営させている
金鉱は如何、曽つてこの地に居住していた前米国大東力フーヴァー氏夫妻はその報告書中に「山東の金採掘には、大きな希望が持てる」と記入した、今年に入り支那兵に破壊された玲瓏金鉱もすでに復活、新に棲霞、平度、文登、牟平各地の金鉱を併せ、採掘に拍車をかけるという、次ぎは鉄鉱だ、金嶺鎮の鉄鉱は、埋蔵量一、三七〇百万トン鉄分五十五パーセント、日鉄指導の下に満洲工廠の手で、銑鉄十万トン生産の計画が樹てられ、すでに実地調査を終った、目下現地に一大製鉄所建設の議が台頭している、その他の鉱物も漸次統制採掘さるべきは言を俟たない
戦後、済南、青島を中心に進出した主なる邦人企業は次の通り

紡績 在来、支那人経営の仁豊、魯豊、成通(合計錘数六、三〇〇錘)は事変後、軍管理工場として鐘紡、東洋紡、豊田紡の三社に委任経営
製粉 八社中、一社は日清製粉、三社および徐州の一工場(総計五千二百バレル)は三井系三吉公司に委任経営、将来は日支合弁組織に変更
セメント 磐城セメント経営、生産能力年額五千トン
製糸 資本金三百万円の日支合弁会社設立計画中

このほかマッチ、製糖、火薬、電気等一万円以上の商社、現在三百二十社におよび、邦人経済発展の旺盛、もって知るべしである
交通は、今年六月一日から津浦線直通夜間列車の運転を開始、膠済線また本年中に夜行列車の運転を計画中で営業成績は

[図表あり 省略]

ちょっと、桁はずれの躍進である、さらに津浦、京漢両線を結ぶ大国道の建設もすでに着手され、六千二百キロにおよぶ大幹線の完成も近い将来となった
山東支那の急所である、支那の歴史は「山東を治めずして支那の統治は不可能なり」と教えている山東の治安、今やすでに完全に近い、その意味で新東亜体制の完成も、また近かるべきを信じて疑わないのである

[図表あり 省略]


山東篇にどうしても附け加えねばならぬのは青島である、青島特別市は本年五月中旬膠州、即墨の二県を編入して、世界第一の広大な大都市(ほぼ、兵庫県と同一面積)に躍進、人口二百余万、北支の大玄関を形成したところは一大偉観である、戦火の被害最も甚しかったのは紡績についで鉱山、電気事業、マッチ、ゴム等だった、現在紡績は内外綿、国光、大日本、公大、上海、日清、富士、豊田、同興の九社、いずれも復興操業し、四月末までに精紡機三十三万錘、織機四千二百台を据附けたが、まだ事変前の盛況にはおよばない青島の持つ一番の強味は青島大港だ、しかし青島繁栄のため最も必要なことは同地とヒンターランドを結ぶ膠済線の輸送能力の増大だ、退避駅の増設その他の施設で、悠々年八百万トンまで漕ぎつけ得る可能性はある(事変前の輸送能力年三百二、三十万トン)輸送能力が増大すれば石炭、棉花、葉煙草、塩、落花生、牛肉、牛皮、豚毛、加工卵、蛍石等沿線特産品の青島出廻りが活溌となり目下復興資材その他輸入のみで輸出の少い片貿易の悩みを解消し、優秀船増配問題も自然解決を見ることとなろう(済南にて前田本社特派員)

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データ作成:2003.10 神戸大学附属図書