「武漢撤退にあたり全国軍民に告げる書」

中国軍武漢撤退後の1938年10月31日、蒋介石は「武漢撤退にあたり全国軍民に告げる書」を発表した。

 武漢を防衛する軍事作戦の主要な意義は、敵の西進を遅滞させ、敵軍の戦力を消耗させ、その間に後方の交通を整備し、必要な武器を輸送、集積し、わが国東南および中部の工業を移動させ、西北、西南の建設を進めることにあった。
 いま、わが中部の工業および東南の人力、物力の多くはすでに西南諸省に移動し、西部の開発と交通の建設は、すでに初歩の基礎ができた。
 今後の抗戦はひきつづき全面戦争であり、一つ一つの点や線を争うのではない。武漢防衛の任務はすでに達成された。わが同胞は、このたびの兵力の転進が、わが国にとって守りから攻めへの転機となるばかりでなく、徹底抗戦を敗から勝へ転じる主要なポイントであることを知らなくてはならない。

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*1:蒋介石秘録12 日中全面戦争」P154